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主体性を高めていくプロセス

筆者が大学に入学したとき教室の黒板に「主体性を持て!」と大きく書かれていたのを今でも鮮明に覚えています。多分、学生自治会のメンバーが新入学生に向けて書いたものと思われます。数年前に経営者に対して新入社員に何を望むかとのアンケートに「主体性の確立」と「コミュニケーション能力」が上位にあがっていました。このように「主体性」は古くて新しいテーマになっています。
企業研修の中で若い人たちに主体性とは何かと聞くと「積極性がある」「上司に指示されて動くのではなく自ら動く」「自分で考え行動する」といったいろいろな考え方があります。主体性とは何か、どのようにしたら主体性を高めていくことができるか考えて見ましょう。

1.日本人の主体性
森口兼二氏は彼の著書(「自尊心の構造」松籟社)の中で西洋人の主体性と日本人の主体性についてアメリカ人の論文を紹介しています。その論文の趣旨を筆者が要約しました。
「日本の青年にインタビューをしたら日本人が考えている主体性とアメリカ人が主体性と考えているものとはちょっと違うことがわかった。アメリカ人(クリスチャン)の考えている主体性とは超越した神(God)や普遍原理(Universal-Principle)への一体性、同一化(identify with ~)である。それに対し日本の青年の主体性はidentityではなくself-hood(自分本位, 利己心, わがまま)だということである。self-hoodである背景として、子どもの頃から集団の中で甘やかされて育ってきたため。顕著な自己感覚とでもいうか、他人と違っておればいいという、その感じをはっきりさせて生きていきたい。他人とおれとは違うぞ、昔からの習慣や伝統、社会通念などから区別された自分というものを確認したい。
この欲求を主体性ということばで呼んでいるのである。それは集団埋没性において集団からの非常な保護と、その保護に対する集団への忠誠ということで生きてきたから、そういうものから自分を解放するために集団に埋没しない自分、あるいは世間全体から非常に特色のある集団としてのself-hoodなどを求めているのである」
これは「戦後日本の青年」という題名の論文からの紹介ですが、戦後60年以上立っても日本の青年のみならず日本人全体の主体性はさほど変わっていないのではないかと思うときがあります。





西洋人と日本人の主体性の違い

「自尊心の構造」(松籟社)森口兼二 P48より引用

2.主体性の一般的定義
広辞苑を見ると主体的とは「ある活動や思考などをなす時、その主体となって働きかけるさま。他のものによって導かれるのではなく、自己の純粋な立場において行なうさま」とあります。そして主体性とは主体的であると記されています。
また大辞林を見ると、主体性とは「自分の意志、判断によって、自ら責任をもって行動する態度のあること」とあります。言い換えれば、あらゆる場面で自ら考え、選択や決断をして行動する。しかも、その結果を甘んじて受けるということです。

3.主体性とは―自分からのスタート(STARTING FROM WITHIN)
私たちの人生は、多くの出会いや経験が積み重なったものですが、違う視点でとらえると自己選択の連続です。読者である皆さんもこの文章に出会ったのも、この会報を読むという選択の結果です。そして、この会報を読んだら何をしますか?明日はどこに行きますか?すべて選択しています。私たちの人生は選択の連続です。この選択していることの自覚が主体性のスタートです。他者からの指示や命令について自分の考え方と違っても「イエス」と返事している場合もあるでしょう。これもあえて「ノー」といわない選択をしていることになります。このことが自覚できているかどうかです。そして、その結果を引き受ける表現や態度がとれるかどうかです。自己選択した結果がよければいいのですが、ときには不満足な結果に終わる場合もあります。それもあなたが選択した結果なのです。その結果を引き受ける責任や態度があるかどうかです。ただ、気持ちや感情レベルで組織や他人の責任にしたくなるときがあります。そのような感情を認め受入れながらも、どのような態度や表現をするかが大切なのです。目上の人からの場合は責任を引き受けますが、目下だとときには責めてしまったりします。また、仕事の場面では自己選択、自己責任が実行できても家族に対してはできなかったりします。場面や相手によって主体的であったり、そうでなかったりすることもあるかも知れません。すべての場面や相手に対して主体的であるのは難しいかも知れませんが、できなかったときには主体的でなかったと自覚するのも大切といえるでしょう。

4.主体性はセルフ・エンパワーメントの下支え
前回の原稿でもご紹介したようにセルフ・エンパワーメント モデルの下支えが「主体性」であるなら上支えは「指針」となっています。これはいくら個人がビジョンを創造し、目標を設定し、能力を育成するための行動を行なおうとしても上支えの指針がなければ個人の基軸が抜けていることを意味しています。そして下支えの主体性は自分の人生の主人公は自分自身であるという認識です。仕事や学業、プライベートなどの目標を遂行しているのは自分自身であるという当事者意識を持つことを意味しています。

5.主体性を高めていくプロセス
それでは主体性を高めていくためにはどのようにすればよいでしょうか。私たちは日常誰かに教えられなくても他者との関係や仕事との関係において主体性を高めるためのプロセスを無意識にまわしています。ここでは体系立てて意識的にそのプロセスを見て行きましょう。
主体性を高めていくためのプロセスとは次ページの図の「自己理解」「自己意識」「自己解放」「自己受容」「自己統合」です。
このプロセスはイタリアの精神科医が提唱するサイコ・シンセシス(精神統合)の自己実現のプロセスがベースとなっています。




1)自己理解
自己理解とは自らのパーソナリティーや感情、身体、知性などについて知ることです。
セルフ・エンパワーメント研修やエンパワーメント・カウンセリングではパーソナリティーの理解を促進するためにパーソナリティーの多面的要素をカードにしたSP(サブ・パーソナリティー)トランプを使用しています。

2)自己意識
自己意識とは自分のパーソナリティーや感情、身体、知性を客観的に観ている意識の中心のことです。ここでは自己意識である「セルフ」を意識することが大切です。

3)自己解放
とらわれているものからの脱同一化(disidentify  with~)です。とらわれているものにはサブ・パーソナリティー、感情、身体など自分の様々な面以外にも役割、性別、所属集団、周りからの期待などもあります。

4)自己受容
特に気になるパーソナリティーの存在の意味を理解したり、その存在を抑制否定せずに受け入れます。

5)自己統合
自己実現の課題(新たに作り上げられるべきパーソナリティー)を明確にし、そのために必要な「意志」を備えた「セルフ」の働きにより調和のとれたパーソナリテイ―が実現されます。
人間は一人びとり価値ある存在です。大切なことは、各自が可能な限り自分の意志で自己に必要なパーソナリティーを育み、自己実現していくことです。


引用文献「人間力を高めるーセルフ・エンパワーメント」八尾芳樹・角本ナナ子 東京図書出版会

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