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主体性と主体性確立の段階

1.主体性とは

主体性とは「自分の意志、判断によって、自ら責任をもって行動する態度のあること(大辞林)」とあります。現在、企業が学生に期待することの上位に「主体的行動」や「主体的態度」があります。また企業の若手研修のテーマも「主体性の確立」に関するものが多く見られます。SPトランプを使ったエンパワーメント・カウンセリング&コーチングの主たる目的もこの主体的態度の育成があります。

この主体的態度には2つの要素があります。一つは自分の人生の進路や日々の行いもすべて自分が選択しているということです。どこの学校に行くのか、どこの会社に就職するのかといった意識的な選択と日々の行動に見られる無意識的な選択です。何を食べるのか、何をするのか、相手任せにしている場合もあります。しかしここで大切なのは意識して選択するのか無意識に選択するのか、いずれにしても自分自身が選択しているということを自覚しているかどうかです。この選択を自覚していることが一つ目の要素になります。2つ目は自ら選択した結果に対して責任を引き受ける態度や表現ができているかどうかです。心のなかでは自ら選択した選択に対して反省したり、うまく結果がついてこない場合は誰かのせいにしたくなります。これはいたって当然のことであって心の中の自然な反応だといえます。ただ大切なのは自らが選択したことに対してときには甘んじて責任を引き受ける表現や態度がとれるかどうかです。まさに「Starting from within」です。企業研修で多くの若者にこれら2つ「選択していることの自覚」と「責任を引き受ける表現や態度」ができているかと聞くと、「仕事ではそうありたいと思っているが、家族との関係や親しい人との関係においてはできていない場合が多々ある」との答えが返ってきます。確かに年配者においても仕事や社会的な場面ではできていても家族や親しい友人との関係においては、自ら選択した自覚もなく、結果が満足できない場合は人のせいにする場合があります。

「甘えの構造」(土居健郎著、弘文堂)の中で、「甘え」は日本人の心理と日本社会の構造を理解するための重要なキーワードだと紹介されていましたが、日本人にとって甘えの反対が、この2つの要素をもった主体的態度だと筆者は考えています。

日本の企業はかっては大家族みたいなものであるといわれていました。しかし今日の世界経済の中で企業活動を行っていくためには家族の中の人間関係でみられるような甘えが許されなくなってきています。ある観点にたてば企業の中での甘えが許されなくなった分、社員に主体的態度を求めているとも考えられます。しかし学生や若者達は親や先生が選択の余地のない答えを与え、学生や若者達はそれに従い(ときには単に反発し)、もし結果が上手くいかなければ誰かのせいにして済まされる環境で育ってきています。

最近は企業に採用される技術者や研究者の多くは大学院卒になってきています。ある企業の採用者がなげいておられたのは、院生としての修士論文のテーマも自らが設定するのではなく(何をテーマにしていいか選択ができない)、教授から与えられたものをそのまま研究するといたケースが増えているということでした。そして彼等が教授推薦で企業に入ってきています。最近は経済状況の悪化で将来どのような仕事をしたいかといった目的で就職するのではなく、大きな安定した会社に入社(就職ではなく)する傾向が強まっています。また同じような発想で公務員志向も増えています。

2.主体性確立の段階

主体性確立の段階には次の4段階があると考えています。

第1段階 他者に依存・集団に埋没(没個的)
組織や役割に埋没してしまい、自分自身を見失っている段階、絶えず皆と同じでなければ不安なために自分を犠牲にしています。主体性を見失っているか、確立できていない状態。 他者や組織に対して依存的で、一般的にいわれる組織人間や滅私奉公がこの段階にあたります。

第2段階 他者・集団からの独立(個の芽生え)
積極性が芽生え、皆と違う思考・行動パターンをとることによって自分の存在を確認します。「皆と同じじゃなくてもかまわない」「私は皆と違う」ことが大切、自分の考えを主張できる段階です。よく自己中心的な考えを主体的であると思い込んでいる若年層の問題がクローズアップされますが、自分さえよければいいというのが、この段階になります。第1段階からこの段階に上がると、いままで依存されていた人たちから見れば生意気にみえたり、出る杭は打たれたりします。しかし、次の第3段階である他者や組織と共存共栄の関係になるためには通過していかなければならない段階でもあります。この段階の成長課題を解決せずに次の段階にいくと、一見他者・集団との共存共栄の関係のように見えますが、単に他者・組織に合わせているに過ぎない場合があります。

第3段階 他者・集団との共存共栄(個の確立)
お互いに違うことを受け入れることができ、他人の考えや行動も尊重でき、行動は目標指向的で自己管理ができ自分の意見・行動に責任を持つことができるようになる段階です。無目的・刹那的な行動ではなく自らが設定・選択した目標に向けた行動ができ、自らの行動や仕事の結果に対しても他者や組織のせいにする他責ではなく、自己責任をとることができる段階でもあります。経済的、生活的に自立しながらも精神的にも自律している段階です。自分の気持ちや考え方を大切にしながらも相手の気持ちや考え方も尊重できます。「I win.You win.(自他共に勝つ)」という他者との関係を持つことができる段階です。


図表 主体性確立の段階




第4段階 自分も集団も超越する(超個的)
他人も自分も超えた所の意識が持てる。お互いを超越した、もっと高い次元にある、集団・組織・顧客・社会・地球的・宇宙的な視野に立った考え方ができる段階です。他のメンバーと話していても職場や会社全体から見たらどうだろうか、顧客の観点でみたらどうだろうか、地球的や宇宙的な視点でみたらどうだろうかなど、全体最適の視点でWIN/WINの関係作りができることです。A・Hマスローは「人間性の最高の価値」(誠信書房・上田吉一訳)の中で超越とは、人間の意識が最高で、包括的で、全体論的な水準を意味するもの、その行動や関係は、自己、特定の相手、人類一般、他の種族、自然、宇宙に対して、手段として位置づけるのではなくよりむしろ、最終的な目的として取り組むことであるといっています。この超越が主体性確立の第4段階になります。

3.日本人(社会人)の主体性確立の段階のデータ

主体性の確立には4つの段階があることを説明してきました。これらの段階は決して固定しているものではありません。職場環境に慣れることにとって一段階の迎合から第2段階の自己主張の段階にあがったり、また新しい職場環境に移ることによって一つ下の段階からスタートしたりします。仕事においては自己主張的な第2段階であってもプライベートの友人との関係は第3段階と仕事とプライベートでは違ってくるかもしれません。そして4つのいずれかの段階ではなく第2段階の自己主張的な行動をしたくても第1段階の相手に迎合するときもあります。また相手の話を聴きながらWIN/WINの関係を築きたいと思っていても第2段階の自己主張的になることもしばしばあります。このように1と2、2と3、3と4の間に位置したり、その間を行き来したりします。
研修の中で参加者に現在、仕事場面ではどの段階にいるかを聞いた入社2~3年目と50歳代のデータがあります。このデータは4段階ではなく各段階の間の1.5、2.5、3.5段階と計7段階のどこに現在位置するかという質問に対する答えです。2つの年代を比較すると次の図のようになっていました。
このグラフならびにベースとなっているデータからいくつかの興味深い傾向が出ています。主な特徴を下記にまとめました。

(1)入社2~3年目は1.5段階に位置する人が一番多く平均すると1.9段階でした。また50歳代になると2.5段階が一番多く平均は2.2段階でした。このデータをみると入社2~3年目より50歳代の方が0.3段階高くなっています。

(2)入社2~3年目でも職種によって差があります。営業など顧客と接する人は高い傾向にあり技術、研究職など人と接する機会が少ない人は低い傾向にありました。

(3)50歳代でも管理監督職と非管理監督職でも違いがありました。部下やメンバーなど人の管理監督をしなければならない人は高い傾向にあり、非管理監督職で担当業務をこなすことが主な仕事内の人は低い傾向にありました。

(4)2つの年代をあわせて1110名の平均をとると1.97段階と2段階を下回っています。本来ビジネスはWIN/WINの第3段階以上が望ましいのですがデータで見る限り私たちの主体性確立の段階は低い傾向にあります。


図表 入社2.3年目のデータ




入社2~3年目のグラフは10社のデータ。対象は入社2年目と3年目の832名。事務、技術、営業など職種は多岐にわたる。平均は1.9段階。


図表 50歳代のデータ



50歳代のグラフは2社のデータで年齢は50歳と55歳。職位は管理監督職と非管理監督職で計278名。平均は2.2段階。 
主体性確立の段階は 「人間力を高めるセルフエンパワーメント」八尾芳樹、角本ナナ子共著 (東京図書出版会)より引用

指針とは
指針とは、あなたの人生哲学をベースにしてできた基軸のことです。
自分自身の今後の生き方を、具体的な言葉や文章で表現したもので、いかに生きるかという自分の意志の表明とも言えます。指針の類似語として「座右の銘」「モットー」などがあります。著名人やビジネスの世界で成功した人は、自らの「座右の銘」や「金言」などをよく口にします。彼らは人生やビジネスの世界で成功したから自らの「指針」が明確になったのか!?それとも確固たる「指針」を持っていたので自らの人生で成功したのかといえば、筆者は後者だと考えています。なぜなら「指針」は自らの人生の方向性であり、日々の行動基準になるからです。
「主体性の確立」と「指針の創造」は相互に関連しあっています。主体性の確立している人は自らの行動基準である「指針」を持っています。また「指針」を持っている人は自らの「指針」に基づき行動しているので主体性が確立しているといえます。(セルフ・エンパワーメントモデルでは「指針」は上支え、「主体性」は下支えになります)
ジヤン・ジャック・ルソーは彼の著書「エミール」の中で次のようなことを書いています。「発達には3つの段階がある。人が自分のために行動するときに判断・選択する基準は第1に快・不快(快楽主義)、第2に便・不便(実利主義)、第3に幸・不幸や善悪といった理性的・理念的なものになる」彼が書いた時代から数世紀立っていますが正に現在の時代においても同じことが言えます。いや逆に不快や快そして実利のみで行動するのではなくルソーのいう理念が今重要かも知れません。
この「理念」がセルフ・エンパワーメントモデルの指針にあたります。

1.あなたが人生で大切にしているもの(こと)は何ですか?
2.あなたが人に接するときに心がけていることは何ですか? 
3.あなたの仕事の目的は何ですか? 
4.あなたにとって幸福とは何ですか? 
5.あなたは何のために生きているのですか?

このような人生哲学があなたの指針になります。他人や世間のモノサシに盲目的に合わせたものではなく、あなた独自の人生哲学を明確にしていくことが大切です。

指針が必要とされるとき
主体性確立の第1段階の「他者に依存・集団に埋没」で生きているときには他者や集団のモノサシが自分のモノサシでした。しかし第1段階から第2段階の「他者・集団からの独立」で生きて行こうとすると自らのモノサシが必要になってきます。もしなければ他者や集団に対して単なる抵抗や反発に終わってしまいます。1段高い第2段階的な生き方をしようとすると「自分は何を大切にしながら生きていくのか」「何が幸せなのか」など自分自身の指針の創造が求められてきます。同じように第2段階から第3段階の「他者・集団との共存共栄」の段階で生きていこうとすると他者との関係作り、対応の仕方といったモノサシが必要になってきます。さもなければ両者がWIN/WIN(勝ち・勝ち)の関係ではなくWIN/LOSE(勝ち・負け)の関係になってしまいます。ときどき自分のモノサシもなく相手に対応するためただ単に同調しているだけの場合も見受けられます。また第3段階から第4段階の「自分・集団を超越する」する生き方を行おうとする場合、今までとは違った、自分を超えたモノサシや自分と相手を超えたモノサシである指針の創造が必要になってきます。

注 主体性の段階については「人間力を高めるーセルフ・エンパワーメント」
八尾芳樹・角本ナナ子 (東京図書出版会)より引用しました。

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